2008年12月25日 (木)

3000人を見直す気のなさそうな日弁連

法科大学院の定員について注文をつけた中央教育審議会の中間報告について,日弁連が意見を出しましたね。

中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会「法科大学院教育の質の向上のための改善方策について(中間まとめ)」に対する意見

ちなみに,中央教育審議会の中間報告は以下のものです。

法科大学院教育の質の向上のための改善方策について(中間まとめ)

日弁連意見では法科大学院の入学定員について全国で「4000名程度に減少させることが考えられる。」としており,その目的として,「入学定員数が適正な規模に縮小された結果,法科大学院修了者が相当の割合で法曹資格を取得できるようになる」ことを挙げています。

日弁連執行部が追従を止めていない司法審の報告書では,法科大学院の教育の到達目標としてではありますが,「7,8割が新司法試験に合格できる」ことを挙げていますから,定員削減の結果として達成されるべき合格率として,日弁連は,7,8割という数値を考えているのではないかと推測できます。

すると,予定される合格者の数は

4000×0.7=2800

4000×0.8=3200

の間ということになり,中間値の約3000人が想定される合格者数の平均となります。

つまり日弁連は,合格者数3000人路線を捨てるつもりがない,ということになります。

この時期にこのような提言をしたということは,日弁連のいうスローダウンというのはあくまでも3000人に達する時期の問題にすぎないということです。

懲りないんですね>日弁連執行部

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2008年9月14日 (日)

弁護士激増による弊害は?

具体的な「激増」が問題なのだ の記事にバス運転手さんからコメントをいただきました。

競争激化→生活苦→不祥事に走る 
これも抽象論ではないでしょうか。
不祥事に走るまえに転職という選択肢はありませんか。

と言われますが,業界内の競争激化が法令遵守,サービスや労働者の健康に悪影響を及ぼしている例はバス運転手さんの身近にあるのではないでしょうか。

たとえば,路線バスの実態!! のページ。私自身,都市交通問題に興味があることもあって,以前からブックマークし,時々閲覧していました。

上記ページでは,(今はいろいろ工夫はされているようですが)バスの遅延が,会社のコスト削減のために,余裕を持たないダイヤが組まれていることに起因していること,従業員が時間外労働を拒否すると差別を受けるようになること,長時間労働があたりまえの勤務体制になっており,安全性や法遵守の面で問題が出ていることが記されています。

もちろん,バス運転手さんの勤務先ではこのようなことは無いのかもしれませんし,無いのだとすればそれは喜ばしいことです。

ただ,競争が激化することで生活苦(バス会社の場合は経営困難ですが)に陥り,それを何とかしようとして足掻く過程で問題のある行為がなされるというのは,決して抽象的な論理にすぎないものではないと言えるでしょう。

激しい競争の中で生活苦に陥ったら転職すればよいと言われますが,今までと異なる業種に転職するコストは決してバカにはできないものでしょう。そうすると,経営難,生活苦から何とか抜け出そうとして,怪しげな人と手を結んで依頼者を食い物にすることに手を染めてしまったり(非弁提携と言い,禁止されている行為ではあります。),無理筋の事件を引き受けて依頼者に弁護士費用などの損害を与えてしまったりするおそれは十分にあるのではないでしょうか。

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2008年8月 8日 (金)

お疲れ様でした。

 8月6日の大阪の臨時総会では、執行部の議案(8号)が可決され、大幅減員を求める反執行部の議案(9号)は承認されませんでした。
 結果は以下のとおりだそうです。
 
 執行部議案(8号)  賛成1114、 反対422、 保留19
 反執行部議案(9号) 賛成432 反対1022 保留48   

 破れたことは残念でしたが、変革は一気に進むものではないし、委任状合戦となれば派閥を駆使する執行部が著しく有利になるのだから、ある意味しかたがないと思います。

 では今回の行動が意味がなかったかというと、そのようなことは全くないと思います。
 上の数字からは、執行部案に反対した人で、反執行部案に賛成しなかった人はいないようです(理論的には、両議案に賛成した者がいれば両議案に反対した者があり得ますが、現実的ではないでしょう)。両議案の違いは、概ね「前年度の合格者を上回らない数」にするべきか、「大幅に減らすべき」かというものでした。すなわち、今回の件は、増員の是非はすでに全く争点にはならず、「どれくらい減らすべきか」に争点が移っていること、そして増員反対であっても「前年の合格者を上回らない」という程度では、相当多くの会員の激しい反対にあうことを、明らかにしたと思います。

 日弁連執行部の7月18日の緊急提言は、言葉はあいまいながらも結局は「増員のペースの見直しを求める」との相も変わらぬ増員論ですから、日弁連の提言は会内の多数世論と著しく乖離しています。
 その日弁連会長のお膝元の大阪弁護士会で起こった今回の事件は、増員問題の潮目がさらに変わったことを実感させました。

 聞いたところによると、臨時総会の出席者の半分以上は反執行部派が占め、ただ委任状の数で負けたということ。言うは安し、行うは難し、で外野は色々と批評はできますが、派閥政治に自由な意見表明が押さえられている中で、これだけの若手が決起し、実際に体を運んで意思表明をしたということに新鮮な驚きと、開放感を感じました。各地の激増反対運動を確実に鼓舞したと思います。まずはお疲れ様と心から申し上げたいです。

 ところで昨日入ったニュースによると、社民党、共産党が裁判員裁判の延期を求める方針を明らかにしたということです。これも潮目の変化を感じさせるニュースです。 

 それにしても共産党はかなり積極的に裁判員制度を推進していたと思いましたが???                 

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2008年8月 6日 (水)

注目!大阪弁護士会臨時総会、激増反対の天王山

産経新聞でも取り上げられていましたが、増員反対決議を巡り、8月6日(本日)、大阪弁護士会で臨時総会が開かれます。大阪弁護士会は、宮崎日弁連会長のお膝元の弁護士会。そこで合格者減少を求める反執行部案が可決されれば、増員反対に対する会内世論が一層明確になるので、ある意味、この臨時総会は増員反対運動の天王山ともいえます。私は東京の弁護士ですが、決議には大変注目しています。大阪の同期の弁護士に電話を掛けて、増員反対の決議に一票を投じて欲しいとお願いしよう・・・思っていましたが、夏休み前の忙しさにかまけて電話ができないまま、気がつけばもう6日…。というわけで本ブログで直接お願いをすることに。
 大阪弁護士会の皆様、全国の激増に反対する弁護士が皆さんの行動に非常に期待をしていますので、私たちのためにも是非投票を、と電話もかけなかったことをキッチリ棚に上げて(反省しつつ)、お願いさせていただきます。暑い東京から暑くるしいまでのエール(念?)を送ります。
 執行部議案(8号議案)は当初明確に反対を打ち出す予定であったものが、途中から日和って、2010年に3000人という数値目標の見直しと、少なくとも前年度の合格者数より増やすことのないように求める内容。若手弁護士議案(9号議案)は、明確に減少を求めるものということです。つまり増員賛成対反対の争いではなく、増員見直し論対減少論の争いです。詳しくは、坂野弁護士のブログをご参照ください。
http://www.idea-law.jp/sakano/blog/

  日弁連が7月18日に出した「法曹人口問題に関する緊急提言」では、大阪執行部案より更に後退した、さらに増員のペースダウンを求める見直しにとどまりました。その直後に、会長のお膝元で増員見直しにすら反対することができれば、その影響力は非常に大きいはずです。
 大阪の皆様!吉報を待っています!(そして再度「念」を送ります。ナムナム)

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2008年7月31日 (木)

具体的な「激増」が問題なのだ

この会の名前,「弁護士激増に反対する若手の会」としている。
「激増」という名には,単なる増員とは異なるという意味が込められている。
もちろん,否定的な意味だ。

今私たちが問題としているのは,11年で3倍,18年で6倍という急激な増員である。単なる増員ではない。修習生の空前の就職難を引き起こすような結果を もたらしている増員がどうか,司法試験委員会で答案のレベルの低下が述べられるような増員がどうか,ということが問われているのである。

司法試験合格者年間3000人への増員の必要性についてはどうか。

司法試験の合格者数は,1992年ころの約500人から,新司法試験開始前の2005年には約1500人へと3倍に増加している。その間,弁護士会の努力などもあり,いわゆるゼロワン地域のうち,弁護士不在の地域は無くなり,弁護士が1人しかいない地域も20数か所へと減少している。

これ以上増員しなくても,今のペースでも数年でゼロワン地域は解消することとなろう。

このように,合格者数は年間1500人,いや,それ以下でも,足りるのである。3000人という人数については,そもそも,隣接士業の存在や近時の事件数の推移などを無視した,合理的根拠に欠けるものである。

弁護士激増については,上記のほかにも,競争激化で生活苦に陥った弁護士が不祥事に走る,見通しの薄い事件の事件化が進行し市民に迷惑をかけるといった弊害がある。

弁護士激増の可否は,上記のように,弊害を具体的に検討した上でなされるべきものである。単に抽象論で,弁護士を増やせば正義の総量も増えるという問題ではないのである。

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2008年6月20日 (金)

ブログ立ち上げました

弁護士激増に反対する若手の会ブログです。

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